自閉症の歴史②

1981年、イギリスの精神科医ウィングがアスペルガーの論文を再発見し、彼女が研究対象とした34症例と共に「アスペルガー症候群」と定義しました。これ以降、専門家の間で徐々に注目されるようになり、DSM-IV(1994年)において診断名として追加されています。

1988年に公開された映画「レインマン」のヒットもあり、知的障害を伴う自閉症については世間的にも認知されるようになり、徐々に社会支援も浸透していきました。一方でアスペルガー症候群については社会の理解は十分ではなく、支援が行き届かない状態が続いていました。

さらに10年後の1998年、ウィングは「自閉症スペクトラム」の概念を提唱しました。つまり、重度から軽度まで連続したひと続きの概念として捉えたのです。自身も自閉症児の娘を持つ彼女は、すべての自閉症の人たちが正しい支援を受けられるようにと願いました。この概念が採用され、DSM-5(2013年)では自閉症やアスペルガー症候群といった区別はなくなり、「自閉スペクトラム症」としてまとめられました。これが現在の診断名となっています。

ロナ・ウィング

参考文献:Wing, 久保訳, 2001 片桐, 2011